sahy’s diary

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読書:孟嘗君

今回の本はこのシリーズ。

孟嘗君 著:宮城谷 昌光 (全五巻)

中国春秋戦国時代の傑物である孟嘗君の生きざまを描いた作品です。

が、孟嘗君よりも周囲の人物、特に風洪(白圭)が完璧超人でいてなおかつ魅力的に描かれているため、そちらの活躍に胸躍らせながらドンドン読み進められます。陰謀に次ぐ陰謀、つかの間のロマンス、また陰謀という感じで何度も罠にかけられつつも華麗に潜り抜けて逆転する様は実に痛快。1・2巻は風洪がメイン、3巻は風洪と孫ぴんのダブル主人公という体でしょうか。孫ぴんもまた孫子兵法で有名な人物の一人だけあって、軍勢を操り大いに活躍してくれます。これもまたまた痛快。三国志演義と比べてとっつきづらいイメージの中国春秋戦国時代歴史小説というジャンルでありながら、エンターテイメントとして大変面白く仕上がっています。

反面、孟嘗君が主人公としてメインを張る4巻からは正直、予定調和とでもいうか、特に大きなドラマもなく・・・いえ出来事としては激動アンド激動ですが、じつにさらりと進んでいきます。孟嘗君というタイトルのわりに孟嘗君以外がメインの時の方が面白いとはこれいかに。10年単位で話が飛んだりするから緻密な描写の前半と比べて教科書のように歴史を概括している感を受けたからかしら。

とはいえ、私ごときがもはやあれこれと語るまでもないレベルの名作、興味を持たれた方は是非一読を。お安いし、お近くの図書館にもきっとあります。