2019(に出版ではなく私が読んだ)マイベスト本(小説以外)
タイトル通りの記事でございます。非常に迷いましたが選んだのはこの一冊。
ショーペンハウアーの著書を日本語訳したものの一つですが、和訳本は役者のスキル移管で評価ががらりと変わるのが面白いですね。
私がこれは!と思ったのは、健康、余暇、そして自分にとって自分は何者であるかという3つの点が、幸福を左右する大きな要因であると説いているところと、
他人が自分をどう思っているかを気にすることこそが、幸福から遠ざかる大きな要因であるとしている点でした。
逆にこれは欠点、というより注意点になりますが、何しろ原著が150年以上前の本ですから今の時代にそぐわない記述も多いということ。
それでも時代を貫く普遍性を帯びており、読んで真理に出会ったような衝撃を受けたのでこの本を推しました。
それでは皆様よいお年を~
↓以下、本文より引用
「私たちが何を幸福とし、何を享受するのかということにとって、主観は、客観とは比べ物にならないほど重要である。これは、空腹のときは何を食べても美味しいとか、若者が女神の如く崇める美女が眼前にいても、老人は何とも思わないとかいうことから、天才や聖者の生き方にいたるまで、事々に確証される。特に健康は、ありとあらゆる外的財宝にまさるもので、ほんとうに健康な乞食は病める国王よりも幸福である。」
「人生の幸福にとって「自分は何者なのか」、すなわち、その人の身におのずからそなわるものこそ、一貫して第一の、最も重要なものである。なぜならそれは恒常的で、いかなる境遇においても有効であり、さらに他の二項目における財宝のように運命に屈することもなければ、私たちから奪い取ることもできないからである。」