sahy’s diary

好きなことを好きなように書いていきます

「--敵を憎悪する感情が侮蔑や無関心へと転化し、情報の収集や分析を怠る行為へと連続してゆくのは、全く倒錯した思考と言わざるをえない。これから戦おうとする敵は、尽きせぬ興味と研究の対象であるべきで、その意味では、誰よりも汝の敵をこよなく愛さねばならぬのである。 これに引きかえ自軍の実情認識は、秘密でも何でもないわがことであるから、把握がいとも容易であるかに思える。ところが実は、ここにこそ自己弁護・自己正当化といった、深い落し穴が存在する。」
「--思い込みの強い者、反省心のない者は決して勝てない。敵と自己との実情を徹底的に思い知り、一切の甘美な幻想を切り捨て、最悪の事態にこそ備えんとする精神的苦痛に耐えられぬ者は、そもそも敵と勝敗を争ったりすべきではない。」
孫子講談社学術文庫) 浅野裕一

じつに正しい指摘であります。現代日本でも戦いはいまだに存在します。権利の侵害や身体、精神に苦痛を与えられる状況。それは武器を使った殺し合いと比べても遜色のない地獄であり、一息で死ねるだけまだ殺し合いのほうが慈悲深いかもしれません。
我々はいつ自分の将来を賭けて戦うことになるかわかりません。戦い方を肝に銘じなければなりませんな。